私は久遠厨である

私は久遠厨である。名前はあるがここでは伏せさせてもらう。生まれた場所は大阪である。酷く忙しない街で人々の喧騒に目眩がした事だけは忘れようもない。私はここで初めてVtuberなるものを見た。しかも後で聞くとそれは「御来屋久遠」と言う配信者で一番の歌舞伎者であったそうだ。この御来屋というのは時々私達を沼に沈めて中毒死させるという話である。しかしその当時はなんという考えもなかったから別段恐ろしいとも思わなかった。ただ彼女の動画を再生し、じっと見つめている時に何だかドキドキした感じがあった限りである。動画を流し、少し落ち着いて彼女の顔を見たがいわゆるVtuberというものの見始めであろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。第一たおやかで優雅な袖がカクカクしてまるで鉄板だ。その後Vtuberにも大分会ったがこんな袖には出くわしたことがない。しかのみならず顔の真ん中にあまりに爛々とした瞳が二つ並んでいる。そうしてその瞳が時々こちらを向きパチリパチリと瞼を閉じる。どうも愛らしくて大いに弱った。これが御来屋のするウインクというものであることはようやくこの頃知った。……

 

続く(続かないですw)

Restructure the world

大層なタイトルをつけてしまったものの別に大したことはしません(笑)。

皆様どうもお久しぶりです。

私でございます。

本日、9月3日で「鳶もに」という名前での活動(?)が1周年になりました。

「いやー、長くて短い1年でした…」みたいな挨拶は割愛して、(そもそもこの文章を一体何人読むのか、という疑問もあります)サクッと本題に。

この1年とても楽しかったな、というのが感想でした。

しかし!\_(・ω・`)ココ重要!

最近の(私の)動向は見ていてどうも目に余るところが多いので少し整理させて頂きたく思います。

具体的には「鳶もに」は主に二次創作物(更新頻度はナメクジより遅い)の投稿など、中の人が透けないようなものに限ります。ツイートやリプライもなるべくキャラクターが壊れないようにします(自戒)。

そして密かに(と言うほど密かではない)活動をしていたサブアカウントを中の人密着型として活動します。こちらはどんどんキャラ崩壊します。いやしたくはないが笑。アカウントの方は別にツイッターでお知らせするつもりです。

キャスのアカウントだけどうしようか悩んでいますが、使い分けをする気がしますので機会があればサポーターに…()。

 

そんなこんなで「鳶もに」1周年の決意と方針でした。

この文章をもって「鳶もに」の発言は凄く減ると思いますので最後に、

今までありがとう、これからもよろしく。

大正異聞奇譚4

ある休日の日。

父を手伝い、店番をしていると工房から父が出てきて声をかけられた。

「これを届けるのにちょっとついてこい。」

「届けるだけなら1人で行って来るけど?」

「いや、ついてくるだけで良い。お得意様だからな。自分で出向いて渡したいんだ。」

 

父に連れられ馬車で5分。着いた先は鎌倉の街に映える綺麗な屋敷だった。豪邸と言うほどではないが日本家屋に西洋の建築様式を取り入れたモダンな家であった。父が呼び鈴を鳴らし少し待つと一人の女性が現れた。

「あら、風伯さん。今日はどうなさったんですか?」

女性は色鮮やかな着物に耳隠しと呼ばれる髪型で、絵に書いたような『モガ』であった。

「納屋さんに頼まれた品を持ってきたんですよ。ほら、こちらです。」

父がそう言って手渡した包みを「納屋さん」と呼ばれた女性は開け、中の布を取り出した。

黒と薄桃色のグラデーションに桜の模様が散ったそれはうっとりとするほど美しかった。

 

「それともう一つ。うちのせがれを紹介しようかと。これからお世話になることも多いと思って。」

父がそう言うと背中をグイッと押され前に出る。

「え、、あ、はじめまして。父がいつもお世話になっています。奈頼の息子の颯と言います。よろしくお願いします。」

「ふふふ、こちらこそいつもお世話になってます。御来屋納屋と申します。これからもよろしくお願いします。」

互いにお辞儀した後、納屋さんは父の方に向き直り

「しっかりした息子さんじゃない。うちの娘と同い年くらいかしら?」

と聞いた。父は、

「おい、お前幾つだ。」

とこちらを見てくる。

覚えてなかったのか…と思いつつ、

「16です。」

と答えた。

「やっぱり同い年ね!今度、話し相手にでもなってあげてくれる?」

「もしかして……御来屋久遠さんですか…?」

「あら?どうして知っているの?」

「この間、少し向こうの喫茶店でお会いして偶然話す機会があったんです。」

「そうだったのね。今度、暇な時に遊びにいらっしゃい。あの子もきっと喜ぶわ。」

「それじゃあ、今日は帰ります。またご贔屓によろしくお願いします。」

父がそう言って帰ることとなった。

 

帰り道、父が

「御来屋の娘さんと知り合いとはお前も隅に置けない奴だな。」

と言った。

「結局、どうして今日は連れて来られたの?」

と聞くと、

「遠くない将来、お前が店を継ぐならお得意様とはよく知り合ってた方が良いだろ?また他所にもついてきてもらうと思うがよろしく頼むぞ。」

と父は答えた。

それを聞いて、父には父の思惑があることを知る。

自分がこの大正の世の一部として飲み込まれていくのを感じる。

それを喜ぶべきなのか憂うべきなのか、よく分からなかった。

大正異聞奇譚3

「それで──何か用じゃったかの?」

そう問いかける久遠嬢の琥珀のような爛々とした目が私を貫いていた。

「貴方と似た人を見たことがあったもので…。うるさくしてすいません。」

「わしに似た者とな!しかし、世の中にはそっくりさんが3人は居ると聞くしのぉ。案外近場にそっくりさんがいるのやも知れぬ。」

久遠嬢は運ばれてきたほうじ茶を優雅に受け取り、ふーふーと覚まして少し啜る。

「お主らは高校生かの?近くの高校なら天原高じゃな?わしは少し離れた女学校に通っておるのじゃ。」

穏やかな会話はその後しばらく続き、私たちは先に店を出ることになった。帰り際、久遠嬢が私たちに

「ここにはよく来るからまた会うかもしれんな。その時は話し相手になってもらえるかの?」

と言い、二つ返事で引き受けた。

 

店の前で建御は雅を送ると言い、2人と別れ1人で家に帰った。

家に着いてすぐ自分の部屋のパソコンを起動し例のVtuberの動画を見てみる。やはり姿も声も喫茶店で会った久遠嬢そのものであり、疑いようもない。

たくさんの動画を遡ると自己紹介があった。それを見てみると幾つかの発見があった。彼女はれっきとした大正生まれで、なんと三越でパソコンが拵えられるらしい。呉服屋にパソコン…というかこの時代にパソコンが一般に売られている事がありえない。

動画を見ているうちにクラクラと目眩がしてきた。画面を閉じ深呼吸して心を落ち着ける。

どうやらこの世界は普通の、前までいた世界とは少し変わっているらしい。その差が今は軽微だが大きく歴史を変えてしまったり、実はもう目に見えないところで崩壊しかけているのではないかと思うと恐ろしく感じた。

(早く元の世界への帰り方を見つけなければ)

そう強く感じた。

はじめまして

はじめまして!

って挨拶文を書くのも2回目ですが…

ペンネームとして「黒凧」を使っていますが、ツイッターでは「鳶もに」として活動してます。

この度(ってだいぶ日にちが開きましたけど)、私の推し、久遠ちゃんが二次創作小説用のハッシュタグ「#御来屋書庫」を作ってくださいまして!これはもう書くしかない、と構想をねるねるねるねしてました。色々考えて書けそうだな〜と思ったのでぼちぼちと書いていきます。

 

以前書いていた「大正異聞奇譚」(こちらにも久遠嬢が少し…)はぼちぼち更新します。

それと新しく御来屋書庫用に書いたものを上げていきます。

相変わらずの下手さ加減、横好きと言われようとも精一杯面白い文章にしようと頑張りますので、どうか暖かい目で見守っていただければ幸いです。

始点

「〇〇も中学生になったらスマホ買ってあげる」

「3年も先の話やん…」

3年後、初入手したスマホ

世界は大きく広がった。

ウェブサイトが見られて、SNSも出来る。

私は好奇心の赴くままに動いた。

その1つがゲームだった。

ゲームは男子中学生にとって昨日のテレビよりポピュラーな話題(偏見)なので、色々調べてみた。

小学生の頃からNintendoの大乱闘スマッシュブラザーズをしていたので名前の聞いたことのあるゲームを調べた。

かっこいいなと思ったのはゼルダの伝説のリンク。

ちょうどその頃、最新作が発売されるタイミングだったので、これは噂に聞いたゲーム実況っちゅうのを見てみるしかねぇ、と思った。

Youtubeにて検索したところ、彼と出会った。

ゼルダ実況の最大手。ゼルダのセナさん(当時)である。

 

それから数年。セナさんの活動の全てが「鳶もに」という私の半身を形作りました。

それによって、みすみ、久遠厨、とと徒の皆さんと出会えた。感謝に絶えません。

これからもセナさんの旅路に光がありますように

 

お誕生日おめでとうございます

大正異聞奇譚2

「ん…ううん……寒っ」

あまりの寒さに身を起こす。外は地平線が白んでいて、もう朝のようだった。

 

昨日の夜、あの後も色々と試してみたものの手がかりは得られなかった。「御来屋」も考えてみたけれど何処で聞いたかは分からなかった。むしろ気のせいかもしれないと弱気にもなっていた。  

 

ただ、帰る手段が分かろうとも今すぐに帰れる訳でもない。取り敢えずは今の日常が続くのだ。だから今は高校に行かなければならないと思い布団を出る。

 

下の階に降りると母が朝食を並べている所だった。

「おはよう、颯。もう少しお待ちよ。」

母に頷いて見せ、机の上に置いてある新聞を手に取り、斜め読みする。1面は政治の内容で面白そうな記事はのっていない。ページをめくってスポーツ、芸能、文化に関する記事も読む。キャラメルの広告がのっている。幼い頃、家族で汽車に乗って東京まで行った時に、母がキャラメルをくれた事を思い出した。

 

朝食を済まし、制服に着替えて鞄を持って、家を出る。

「気をつけてね。」

「行ってきます。」

そう言って家を出ると、同じく家を出た建御と目が合う。互いに無言のうちに並んで歩き出す。建御は朝に弱い。いつも眠そうで午後になるまでエンジンがかからない(体育がある日はその限りではないが)。帰りに会う時は陽気なのだが、朝は牛のように押し黙っている。そんな調子で二言三言、言葉を交わし学校について別れる。

 

昼休み。握り飯を頬張っていると廊下からちょいちょいと手招きされる。廊下に出てみると見知った顔が2人いた。1人は建御。もう1人は建御と同じクラスの雅(みやび)だった。

「今日さぁ、放課後一緒にお茶しない?」

 「3人で?」

「うん。」

「なんで?」

「本当は建御と二人で良いんだけど、貴方だけのけ者なのは優しくないからよ。」

「何その優しさ…」

「とにかく、放課後行くからね!」

くるっと後ろを向き建御を掴んでズルズルと引っ張っていってしまった。

「相変わらず強引だな。」と独り言を呟く。

雅は建御の遠い親戚にあたり、昔から桑原家によく遊びに来ていた。何故か分からないが建御は雅に頭が上がらないらしく、いつも振り回されていた。

 

放課後、終業のチャイムと同時に現れた雅に引きずられ昼休みの宣言(?)通り喫茶店に来ていた。

3人でテーブルを囲み、雅はケーキと紅茶を、建御と自分はブレンドコーヒーを飲みながら寛いでいた。こんな風に友達と喫茶店で過ごす事は以前では全く無かった。だから今の生活が充実してないと言うと嘘になる。「こんなことをしてるとこちらに未練が残りそうだ」と思っていた。

 

そんな事を考えているとカウベルが鳴り、若い変わった男女が入って来た。男は緑色のハットに黒縁のメガネと知的な雰囲気を漂わせている。しかし、よく見ると髪の毛も緑がかっている。一方、女は蜜柑色のコートに赤いマフラー。何より目を引くのは整った顔立ちで鎌倉の街でも中々見られるものではない。

2人はカウンターに腰掛けると、

「マスター、いつもの。」

「またカッコつけよって…。ほうじ茶を頼む。」

「そう言えば、久遠ちゃん…」

どうやら女の方は久遠というらしい。雅の方を向きあの2人は店によく来るのかと聞くと、

「うん。前に1,2回見かけたことがあるけど…どうして?」

「なんだよー。お前一目惚れか?」

「いや、変わった人だなって思っただけ。」 

「ふーん、男の人はよく知らないけど、女の人は近くのお屋敷に住んでるみたいよ。」

「そうなんだ。」

「名前はなんだっけな…み、み、未来じゃなくって…えーっと…みき…みく…そう!みくりや!」

「馬鹿!お前、声が大きい!」

時すでに遅し。静かな喫茶店で叫べば聞こえない訳がない。女がこちらを振り返り、

「わしのことか?」

「あ、あはは…ごめんなさい。私もこの近くに住んでいて何度かお見かけした事があるんです〜。」

雅が引きつった笑みで答える。

「彼が貴女のことを聞いて来たので、つい…」

「待て、俺は知ってるか聞いただけだぞ。」

雅がこちらを睨んでくる。

 

久遠嬢は優雅に振り返りこちらを見つめて言う。

「それで──何か用じゃったかの?」